あおば法律事務所
弁護団の発表資料

与党PT救済策批判声明

国民の皆様へ

2007(平成19)年10月26日

与党PT救済策批判声明

 水俣病問題は、公式確認から51年経過しましたが、未だに未解決です。平成16年10月15日に言い渡された最高裁判所・水俣病関西訴訟判決は、水俣病の発生拡大につき、国及び熊本県の国賠責任を認め、行政認定制度で棄却された者の中にも水俣病患者がいることを明確に認めました。この最高裁判決後、多くの水俣病患者が、行政認定制度が改められ広く救済されることを期待し、認定申請を行いました。その数は、熊本、鹿児島両県で5500名を越えています。しかし、行政は、未だに認定基準を改めていません。水俣病不知火患者会は、行政が根本的な対策を取らないことから、熊本地方裁判所に国賠訴訟を提起し(ノーモア・ミナマタ国賠等訴訟)、原告数は1400人を越えています。今月11日には、水俣病被害者互助会も提訴しました。
 今こそ、被害の実態を明らかにし、その被害を償うにたる解決策により根本的な解決、全面解決を図るべきといえます。
 しかるに、与党水俣病問題プロジェクトチーム(与党PT)は、被害の実態も解明しないまま、しかも最高裁判決を無視するかたちで、一時金150万円、手当月額1万円という極めて不十分な案を示し、患者を押さえ込もうとしています。この案には、次のような重大な問題があります。

1 被害の実態解明をしないまま患者切り捨てを行う案である。
被害の実態解明を行わないもとでは全ての患者を救済することはできない。受付期限を設けるということになれば、一層切り捨てが鮮明になる。
2 患者の大量の切り捨てを目論む案である。
公的診断を条件としているが、これでは行政が対象範囲を一方的に決めることになり、切り捨てが生じる。与党PTが環境省に行わせた調査では申請者で四肢末梢の感覚障害のある者は40%台ということであり、たとえ申請しても大半の患者が切り捨てられる可能性が大きい。
3 最高裁判決を無視している案である。
与党PT案は、賠償責任、水俣病の判断基準、補償額のいずれについても最高裁判決を踏まえていない。すなわち、与党PT案は、国、熊本県の責任を不問に付し、水俣病の判断基準についても司法の示した基準を無視し、最高裁が450〜850万円の賠償金を認めたことも完全に無視している。
4 国民の裁判をする権利を不当に侵害する案である。
与党PT案は、受付期限を設ける、新保健手帳についても受付期限を設けるとしており、患者に対し、裁判することを断念させようとするもので、国民の裁判をする権利を実質的に侵害するものである。
5 水俣病問題に係る懇談会の提言に反する案である。
環境大臣が設置した水俣病問題に係る懇談会は、国が前面にたって恒久的対策を取るべきことを提言したが、与党PT案は受付期限を設け期限後の救済を拒否するものであり、提言に反している。

 与党PT案では、到底正しい解決にならないし、全面的な解決になりません。この案を患者が受け入れざるを得ないことになれば、それは、あの悪名高い見舞金契約の再来というべきものになります。
 今度こそ、司法判断を踏まえた正しい解決策により水俣病問題の全面解決を図るべきです。
 私たちは、公害根絶のため、公害の原点といわれる水俣病問題の正しい解決、全面解決の必要性を強く訴えるものです。国民の皆様のご理解とご支援を切にお願いします。

ノーモア・ミナマタ国賠訴訟弁護団

以上